文様とは調度品、器物、衣服などに描かれた図柄のことをいいます。着物の場合は主に友禅染などによって着物の表地に描かれます。文様には色々な思いや願いがこめられています。その意味などを知ると着物を着たときの思いはいっそう、深くなるでしょう。
宝巻(ほうかん)は巻物(まきもの)のほかにも巻軸(まきじく)・巻子本(かんずぼん・けんずぼん)と呼ばれています。巻子本が変化していき、今の本の形になったのです。もともと巻物は勉学の際に使われているものだったため、知恵の象徴や学業成就祈願などの思いを込めて着物の文様となったそう。
巻物を斜めに交差させたことでできる文様を祇園守紋と呼びます。それは京都の八坂神社の守り紋として使われているためです。戦国期以後、禁教令により家紋が使えなくなったキリシタンたちが用いたといわれており、その文様が変化していき、現在の祗園守が生まれたとされています。図柄は以下のように銀杏の葉のようなものとともに、十字に交差した巻物が描かれ丸く形どったものが多くみられます。
そのほかにも金子守、筒守のほか、石持ち地抜き、浮線守、御礼守丸、変わり二つ守、方形のものでは平角祗園守、角祇園守、筒祇園守菱など、変形したものでは祇園守桐、守崩し、祇園守鶴などの種類があります。祇園守は、芸能に縁の祇園社、八坂神社の信仰から梨園に多くみられる家紋です。