文様とは調度品、器物、衣服などに描かれた図柄のことをいいます。着物の場合は主に友禅染などによって着物の表地に描かれます。文様には色々な思いや願いがこめられています。その意味などを知ると着物を着たときの思いはいっそう、深くなるでしょう。
肌寒い初春に他の花にさきがけて凛と清々しく咲く梅の花。愛らしい花の形や枝ぶり、漂う芳しい香りから古来より日本人に愛されてきた花です。禅の言葉で「梅花五福を開く」というものがあり、福、禄、寿、喜、財の五つの福を五枚の花びらがあらわしていると言われています。梅の花の美しさは日本人の心に古来より根ざして和歌などにも多く詠まれています。”東風吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな”(菅原道真)・・・春風が吹いたら、香りをその風に託して大宰府まで送り届けてくれ、梅の花よ私がいないからといって春を忘れてはならないぞ(語訳)。